『鉄拳』プロデューサーの原田勝弘氏、バンダイナムコを退社 シリーズ制作に約30年携わったキーパーソンが離脱
『鉄拳』シリーズのプロデューサーである原田勝弘氏が、自身の X(旧 Twitter)にて「今年末をもってバンダイナムコを退社する」ことを発表した。
本日(8 日)は、『鉄拳』シリーズが誕生してちょうど 30 周年となる節目の日でもある。
原田氏はもともとナムコ入社時、営業部に配属され、入社 2 年目に開発部へ異動。
『鉄拳』1・2 では声優としても参加し、3 作目以降はディレクター/エグゼクティブプロデューサー/監督/プロデューサーとしてシリーズに携わり続けてきた。
また、『ソウルキャリバーIV』や『サマーレッスン』など、多数のゲーム IP にも参加している。
豪快で率直な性格は海外プレイヤーからも絶大な人気を誇り、SNS では開発裏話や調整内容を積極的に共有するほか、時には海外の“アンチ”と英語で真っ向勝負することもあった。
このたび、2025年末をもちまして、私はバンダイナムコを退職することにいたしました。
長く携わってきた『鉄拳』シリーズが30周年という大きな節目を迎え、ひとつの区切りとして最もふさわしい時期であると考えたためです。
「私の原点は、日本のゲームセンターや、海外コミュニティの小さな講堂やコミュニティセンターで、まだ小規模なトーナメントをサポートしていた時代にあります。
アーケード筐体を自ら運び込み、「鉄拳もぜひ遊んでみてほしい」と声をかけながら、目の前の参加者と向き合った日々。
あの場で交わした言葉や空気が、私という開発者の核を形作りました。
時代が変化しても、あの経験が自分の中心にあります。
そしてトーナメントシーンが大きく成長した後も、皆さんは旧知の友人のように私に声をかけ、会場で対戦したり、バーで『一緒に飲もう』と誘ってくれました。
それらもまた、大切な思い出です。
ここ数年間、私生活においては友人達との死別があり、仕事においては、私が尊敬する多くの先輩方の引退や逝去に触れてきました。
そうした出来事の積み重ねが、私に『開発者として残された時間』について考える契機を与えました。
その過程で、私がもう一人の父親のように敬愛する久夛良木健さんにも相談し、貴重な助言と励ましのお言葉をいただきました。
この言葉もまた、今回の決断を静かに後押しするものとなりました。
そして、この4〜5年をかけて私の担ってきたすべての業務やストーリーや世界観、そして責務をチームに段階的に引き継ぎ、今日に至ります。
振り返れば、VR作品(サマーレッスンなど)や『ポッ拳』、ソウルキャリバーシリーズをはじめ、自社他社問わず数多くのプロジェクトに携わる機会に恵まれました。
いずれのプロジェクトも新しい発見と学びに満ち、かけがえのない経験となりました。
これまで支えてくださった皆様、世界中のコミュニティの皆様、そして長年ともに歩んできた仲間たちに深く感謝申し上げます。
次の歩みについては、改めて皆様にお伝えいたします。
これからも、どうぞよろしくお願いいたします。
+あとがき
2025年末をもって退職致しますが、2026年1月末のTWT FINALには顔を出してほしいと会社からお願いされていることもあり、FINALにはゲストとして顔を出すと思います。
これまで30年間『いつかやるよ』と言い続けてやってこなかったトーナメントイベントでのDJですが、その代わりとして“最初で最後のDJ風60分ノンストップ鉄拳ミックス(私による初編集DJ mix)”も、今回のポストに合わせて公開します。」